ロタウイルスの予防接種をする?しない?保健師の教えるロタの感染の恐怖

執筆者:pro金子金子奈菜絵

ロタウイルスの予防接種は受けたほうがいいの?

赤ちゃんが受けなければならない予防接種はとても数が多くなっていますね。
新米ママも、2人目以降のベテランママも、みなさん同じように接種スケジュールの管理に頭を悩ませていらっしゃいます。

予防接種の中でも、最近になって認知度が高まってきたのが「ロタウイルス」のワクチンです。

ロタウイルスに感染するとどうなるの?

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ロタウイルスに感染すると、以下のような症状が出ます。

  • 嘔吐
  • 白色の下痢
  • 発熱(感染した人の3~5割程度)

特に嘔吐・下痢の胃腸症状はかなり激しく、特に4~5日続く白色の下痢が特徴です。

注意して!

注意したいのは、他の感染症と比べて重症化しやすいと言うことです。
感染した乳幼児の1割(特に0歳と1歳に多い)が脱水になり、入院治療が必要になります。
更に、数は少ないですが、脳炎や脳症を引き起こすこともある怖い病気です。

ロタウイルスワクチンは、「重症化させない」ワクチン

ロタウイルスワクチンを接種する最大の効果は、「症状が重症化しないこと」です。
このワクチンを接種することで、入院が必要になるような事態を90%も減らすことができます。
もちろん、感染そのものを防ぐ効果もあります。

効果は、3歳頃まで続くとされています。

接種できる期間が決まっているロタウイルスワクチン

日本国内で受けられるロタウイルスの予防接種には、2種類があります。
ロタリックス(2回接種)とロタテック(3回接種)のワクチンです。

両方とも、口からシロップを飲むタイプの経口ワクチンです。
効果はどちらのタイプでも変わらないとされています。

他の予防接種との違い

他の予防接種と最も違うのは、

  • 接種できる期間が決まっている
  • 接種期間を過ぎると受けられないということです。

ロタリックス(2回接種)

1回目:生後6週以降、20週までに
2回目:生後10週以降、24週までに

ロタテック(3回接種)

1回目:生後6週以降、24週までに
2回目:生後10週以降、28週までに
3回目:生後14週以降、32週までに

この「〇週までに」を過ぎると、もうロタウイルスワクチンを接種することはできません。

例えば、ロタリックスの2回目を24週(生後6ヶ月)ギリギリに受けようと思っていて、赤ちゃんが風邪を引いてしまったとしましょう。
そうすると、25週に入って慌ててお願いしても、もう受けることができなくなってしまうのです。
(+1日程度の誤差であれば、医師に確認して受けられることもあります。)

1歳までは予防接種の乱立期だから注意して

赤ちゃんが受けなければいけない予防接種は本当にたくさんあります。
更に、ロタウイルスのワクチンは「生ワクチン」と呼ばれるタイプなので、接種してから4週間は他の予防接種を受けることができません

そのため、

  • 1回目のロタウイルス予防接種は、生後6週を過ぎたらなるべく早く受ける
  • 2回目以降は、他の予防接種と可能な限り同時接種をする

という工夫をしないと、他の予防接種のスケジュールがどんどん遅くなり、結果的にロタウイルスの追加接種の時期を逃してしまいかねません。

接種を決めるのはいつまで?

ワクチンの在庫管理や病院の予約枠の関係もあるため、予防接種は、思い立ってすぐに受けられるとは限りません。

ロタウイルスの予防接種を受けよう!と決めるのは、生後1ヶ月の間までにしましょう。
更に言うならば、産後1ヶ月のバタバタを考えて、妊娠中に受けるかどうかを決めておくのがベストです。

ネックは「費用」と「接種回数」

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恐ろしいロタウイルス胃腸炎を避ける予防接種なら、みんな受けた方がいいじゃないか!と思ってしまいますね。
けれど、一番のネックは、ロタウイルスの予防接種が「任意接種」のワクチンであると言うことです。

つまりは、国から補助がでる無料のワクチンと異なり、全て自費で受けなければならないということです。
しかも、価格は高めで、2回接種・3回接種どちらの場合でも合計で24,000~27,000円程度かかります

更に接種回数が多い生ワクチンですので、他の予防接種のスケジュールを立てるのが難しくなると言うのも、接種をためらう要因となっています。

0歳・1歳で保育園に入れるなら接種は必須!

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どうしても金銭的に受けるのが難しいということがなければ、医療側としてもロタウイルスワクチンの接種をお薦めしています。

特に0歳・1歳で保育園に入園する予定がある方は、必ず受けて欲しい予防接種です。

ロタウイルスは感染力も強く、集団生活で広がりやすい感染症です。
小さな我が子が激しい下痢・嘔吐で苦しまないためにも、是非接種を積極的に検討してあげてください。

重症化することで、長期間保育園を休まなければならないという事態も、未然に防ぐことができます!

まとめ

自費で受ける任意ワクチンには、他にも「おたふく風邪」「B型肝炎」「インフルエンザ」などがあります。
その中でも回数が多く、費用も高いロタウイルスのワクチンは、接種するかどうか迷う方も多いのが現状です。

2013年の調査では、0歳児の半数程度がこの予防接種を受けていらっしゃるようです。

ロタウイルスが重症化してしまうと、激しい嘔吐・下痢・腹痛で、親として見るのも辛くなるほどです。
スケジュールと金銭面で問題がなければ、受けることを考えて、最寄りの小児科に接種スケジュールを相談してみてください。