元小児科看護師に聞いたロタワクチンは必要?泣かない?予防接種の費用や幼児の重症化・予防接種のスケジュール

赤ちゃんが生まれてホッとしたのもつかの間、生後2か月ころから予防接種が始まります。

助産師

予防接種は種類が多いので、何を、どの順番で受けたらいいの?と悩みますね。今回はロタウイルスのワクチン接種を中心に、他の様々なワクチンとのスケジュールの組み方をご紹介します。
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ロタワクチンってどんなもの?必要性と注意点

予防接種には、定期接種と任意接種の2種類があります。赤ちゃんに必要なものを買う他に高額な予防接種をいくつも受けるとなるとお財布も痛みますよね。なるべくなら出費は避けたい時期です。

助産師

ロタワクチンは任意接種です。
でも、ロタウイルスは年少児では重症化する可能性が高いので、赤ちゃんを守るためにできれば受けさせてあげたいものです。

ロタウイルス感染やロタワクチン接種について、予防接種スケジュールの組み方も併せて詳しくご紹介します。

1.ロタウイルス性胃腸炎ってどんな病気?

子どもの病気としてロタウイルスという名前は耳にしたことがある方も多いと思います。ロタウイルス性胃腸炎は名前の通りウイルス性の胃腸炎です。

助産師

2日程度の潜伏期ののち、水様の下痢が数日から1週間程度続き、突然の嘔吐や発熱も見られます。脱水症状やけいれん、脳炎、脳症などが起こることもあります。衛生状態に関係なく、ロタウイルスには5歳までにほぼ全員が感染すると言われています。

ロタウイルスは年少児では重症化するリスクが高いので注意が必要です。ノロウイルスと違い、ロタウイルスは感染するほど免疫を獲得できますが、初めて感染した幼児や赤ちゃんは免疫がないため重症化の恐れがありますよ。免疫がある大人がロタウイルスに感染しても軽度の下痢症状のみで終わってしまうこともあります。

胃腸炎にかかると嘔吐や下痢で脱水症状を引き起こすことがよくあります。

助産師

子どもの場合、特に赤ちゃんや幼児は脱水症状が重症化する可能性が大きいので注意してください。赤ちゃんや幼児は体の特徴から脱水を起こしやすく、自分で意識して水分を取り脱水症状を予防することもないので、大人や大きな子どもよりも重症化しやすいのです。

脱水症状は程度によっては全身状態に影響を及ぼすこともあるため、早めに受診してください。

2.ロタワクチンってどんなものがあるの?

いざロタワクチンを受けようとしたときに「『ロタリックス_』と『ロタテック』どちらの薬にしますか?」と聞かれます。

ロタワクチンには2種類あります。

  1. ロタリックス
  2. ロタテック

という2種類のワクチンで、入っているウイルスの株の種類が異なります。

助産師

ロタテックの方が対応しているウイルスの型が多いのです。

どちらも任意接種のワクチンです。
ワクチンの料金は医療施設によって異なります。

ロタリックス

2回接種
飲むタイプのワクチンです。

助産師

生後6週から24週までで4週間をあけて2回接種を行います

ロタテック

3回接種
飲むタイプのワクチンです。

助産師

生後6週から32週までで4週間をあけて3回接種を行います

予防接種1回あたりの金額は、ロタテックの方が安く設定されている場合が多いです。接種回数は、ロタテックが3回接種でロタリックスより1回多く、合計金額は両方ともほぼ同じになります。

3.ロタワクチンっていつから受けられるの?他のワクチンとのスケジュールの組み方

ロタワクチンは生後6週から受けることができます。他のワクチンが始まる前から開始することが可能です。

助産師

生ワクチンですので接種後は4週間あけなければ他のワクチンが受けられません。注意してください。
一般的には生後2か月の時点で他の定期接種のワクチンと同時に行うことが多いです。

ロタワクチンの場合には接種期間がとても大切

助産師

腸重積が起こりやすいとされる時期に入ってしまうとワクチンの接種対象外となってしまいます。
初回の接種は生後14週6日までに行うことが推奨されています。

ロタワクチンは他のワクチンとの同時接種が可能ですが、もし同時接種を避けたい場合にはスケジュールの組み方に注意が必要です。

生後2か月から始まる定期接種の

  1. ヒブワクチン
  2. 肺炎球菌ワクチン
  3. B型肝炎ワクチン

は不活化ワクチンです。
これらの予防接種は1週間あければ次のワクチンが接種可能です。

助産師

ロタワクチンは生ワクチンですので、次に他のワクチンを受けるためには4週間あける必要があります。

現在のワクチンの種類は数が多く、すべてのワクチンの同時接種を避けようとするととっても大変。
どんどん月齢がずれ込んでしまいます。

助産師

医師と相談し一部を同時接種でスケジュールを組むとスムーズにワクチン接種を進められますよ。

ここでスケジュール例をご紹介します。ロタテック、ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、(3か月から)四種混合をうける場合で、ロタテック以外のワクチン接種が2回までになるように組んであります。

予防接種のスケジュール例

生後4週  ヒブワクチン①、肺炎球菌ワクチン①
生後5週  B型肝炎ワクチン①、ロタテック①
生後9週  B型肝炎ワクチン②、四種混合①
生後10週 肺炎球菌②、ヒブワクチン②、ロタテック②
生後14週 ヒブワクチン③、四種混合②
生後15週 肺炎球菌③、ロタテック③
生後19週 四種混合③
生後25週から29週 B型肝炎ワクチン③

上記は一例ですので、同時接種を避けたいなどの場合には、保健師やかかりつけ医などと相談しスケジュールを組むと安心ですよ。

4.ワクチンのあとに下痢をした!機嫌が悪い‥ワクチン後の注意点は?

ワクチン接種の一般的な副作用としてアレルギー反応があります。

  • 副作用の症状
  • 身体に発疹や赤みがでる
  • 唇や眼などの粘膜が腫れる
  • ゼーゼーしたり咳がでたりする
  • 声がかすれる

などさまざま。

助産師

ワクチン接種後20分程度で起こることが多いと言われています。
ワクチン接種後に院内で待機するよう指示されるのは、アレルギー症状が出ないか確認するためです。ワクチン接種後には必ず院内で待機してくださいね。

ロタワクチンの副作用としては、下痢をする場合があります。
ロタワクチンは弱毒生ワクチンといって、弱毒化したウイルスに感染させることで免疫を獲得するもの。軽度の下痢や軟便になる場合がありますよ。

助産師

下痢がひどい場合には受診をおすすめします。ワクチン接種後の便にはロタウイルスが含まれているので、オムツ交換の後には石けんでしっかりと手洗いをしてくださいね。

5.服などを汚してしまった場合は?

ロタウイルスなどの胃腸炎ウイルスにはアルコール消毒は効きません。便で服やその他のものを汚してしまった場合には、塩素系漂白剤で消毒をしてください。

ラベルに表記されている濃度に水で薄め15分ほど浸け置きしてから洗濯します。色落ちが心配な場合には85度以上の熱湯に2分以上浸す方法もあります。

6.腸重積ってどんな病気?

ロタワクチンの副作用に腸重積があります。腸重積というのは、腸同士が重なり合うように一方に入り込んでしまった状態をいいます。腸が重なり合って締め付けられることによって血流障害や消化管の閉塞を起こします。

腸重積を起こした場合、12時間以内に元に戻す処置をしなければ腸が壊死を起こし、腸に穴が開くことでショック状態に陥ってしまう危険な病気です。

症状としては、「泣き止んだと思ったらまた泣き出す」を繰り返したり、不機嫌な様子がみられたり、イチゴジャム状の血便がみられます。腸重積が疑われる場合には早いタイミングでの処置が大切です。すぐに医療機関を受診しましょう。

7.腸重積のリスクがあるならワクチンは受けないほうがよい?

ロタワクチンの副作用のひとつとして腸重積をあげましたが、これロタワクチンだけでなくロタウイルス性胃腸炎そのものでも起こる可能性があります。

ロタワクチンで腸重積を起こす確率よりも、ロタウイルス性胃腸炎で腸重積を起こす確率のほうが高いとされているので、ロタワクチンで予防したほうが安全と言えます。

8.赤ちゃんの健やかな成長のために‥

赤ちゃんが生まれてから生活が一変して、何かと大変なことが多いと感じている時期かもしれません。

赤ちゃんに関する情報は山のようにあり、何から始めればよいか困っているママもいらっしゃるでしょう。

ぜひ、赤ちゃんが元気にスクスクと成長できるよう、ワクチンに関する情報をしっかり集めて赤ちゃんにとって一番よい方法をとってあげたいですね。

まとめ

5歳までにほとんどの子どもが感染するロタウイルス。感染すると免疫もつきますが、初めての感染では重症化する可能性も。それを予防するのがロタワクチンです。

ロタワクチンの予防接種は任意接種で、「ロタリックス」「ロタテック」の2種類があります。生後6週の頃から、他の定期接種と組み合わせて接種スケジュールをたてることをおすすめします。スケジュール例を参考に、かかりつけ医などとも相談しながら、計画をたてると安心ですよ。

ロタワクチンで副作用の腸重積を起こす確率は、ロタウイルスに感染して腸重積を起こす確率より低いものです。ロタワクチンで予防するほうが安全と言えます。

ロタウイルスに感染したときは、脱水症状に注意して早めに受診しましょう。ロタウイルスが付着したものを消毒するには、塩素系漂白剤が有効です。手は石けんを使ってよく洗いましょう。

ワクチンに関する情報をしっかり集めて、かかりつけ医と相談しながら予防接種スケジュールを組んでみてはいかがでしょうか?赤ちゃんのすこやかな成長を願っています。
参考:国立感染症研究所 感染症情報センター