乳糖不耐症・牛乳アレルギーの違いと注意点
1歳を過ぎると、今までは粉ミルクか麦茶、果汁(ジュース)しか飲んでいなかったお子さんも牛乳を飲み始めます。
これってアレルギーなの?それとも牛乳でお腹が緩くなっただけ??と心配されるママも多いと思います。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする「乳糖不耐症」は、実は日本人にはとても多い症状です。
また、牛乳アレルギーも、卵に次いでもっとも多い食物アレルギーです。
赤ちゃんに起こりやすい牛乳アレルギーと乳糖不耐症、一体どこが違うのでしょうか?
そして牛乳を飲んで下痢をしてしまったら、どちらの病気を心配するべきなのでしょうか??
保健師がママの疑問にお答えします!
乳糖不耐症ってなに?
原因は牛乳の中の糖分です
乳糖不耐症とは、牛乳や粉ミルクの中に含まれる乳糖(ラクトース)と呼ばれる糖類を消化できず、下痢になってしまう症状です。
遺伝的に乳糖を消化できない人もいますし、ウイルス性腸炎などの後に、一時的に症状がでる場合もあります。
先天的?一時的?ママが試してあげたいこと
粉ミルク・母乳で下痢をしていなければ、一時的な乳糖不耐症かもしれません。
先天的な乳糖不耐症の場合は、母乳や粉ミルクでも下痢が続いたり、体重が増えないなどの症状が出ます。
そのような場合は、乳糖の消化吸収を促すお薬を飲み、一時的に牛乳を控えることで、また飲めるようになります。
牛乳アレルギーってなに?
牛乳だけでなくヨーグルトやチーズも注意
牛乳アレルギーは、牛乳の中に含まれる「ガゼイン」というたんぱく質が原因で起こります。
ガゼインは、加熱しても変化しにくいため、牛乳だけでなくチーズやヨーグルトも同じような症状を引き起こしてしまいます。
完全母乳から牛乳デビューした赤ちゃんは、アレルギーの可能性もあります
牛乳アレルギーの場合、粉ミルクでも同じようにアレルギー反応が起こります。
しかし、牛乳を飲んでいるママの母乳を飲んでも、アレルギー反応が起こらないので注意が必要です。
牛乳を飲んで下痢をしてしまったら
以下のような症状であれば、乳糖不耐症の可能性が高くなります。
- 酸っぱい匂いのする水の様な下痢がでている
- よくおならをする
- お腹が張っている
- これらの症状が、牛乳を飲んでから30分~2時間後という短時間で起こる
- 下痢をする前に、胃腸風邪を含む何らかの風邪を引いていた
それに対して、牛乳アレルギーの場合は、以下のような症状が出ます。
- 下痢だけでなく、蕁麻疹やかゆみなどの皮膚症状がある
- 咳、鼻水、喘息様の症状など、呼吸器症状がある
- 牛乳を飲んだ後に嘔吐した
- 牛乳を飲んだ直後に症状がある場合もあるが、半日程度経過してから症状が起こることもある
このように症状が様々で、牛乳を飲んだ直後だけでなくしばらくしてから症状が起こることがあるのも特徴です。
今まで、母乳や粉ミルクを飲んでいても何の異常もなく、牛乳を飲み始めてから下痢が始まった赤ちゃんであれば、
- 胃腸炎を含めた風邪をきっかけに、一時的な乳糖不耐症になっている
- 牛乳アレルギーがある
- 冷たい牛乳を消化できず、一時的な消化不良を起こしている
これらの可能性が高いと言えます。
牛乳アレルギーと乳糖不耐症の違いについてのまとめ
母乳育ちの赤ちゃんが、1歳を過ぎて、牛乳を飲み始めてから下痢・蕁麻疹などが起きた場合は、牛乳アレルギーの可能性が高くなります。
風邪や腸炎の後に下痢が起きた場合は、一時的な乳糖不耐症の可能性が高いと言えるでしょう。
また、いきなり冷たい牛乳を与えると、一時的に下痢をしてしまうこともあります。
最初は、室温に戻すか、人肌程度に温めて飲ませてあげてくださいね。
乳糖不耐症と牛乳アレルギーは、必要になるお薬も、食べ物の除去の仕方も異なります。
牛乳アレルギーであれば、他の乳製品で症状が起こる可能性もあるので、更に注意が必要です。
牛乳を飲んで下痢が続くようなら、早めに小児科を受診するようにしましょう。
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執筆:金子奈菜絵