産科・小児科の新生児室で看護婦をしていた、現役保健師が乳頭が切れた場合の自宅ケアについて解説します。
赤ちゃんのために我慢するのが母性だと思う必要はありませんよ。
おっぱいが切れた時の5つ応急処置
できるだけ早く痛みのない状態を作りたいですね。
1. 抱き方を変えて、傷への負担を軽減しましょう
できれば避けたいことは、切れた部分に赤ちゃんの下あごがあたることです。
痛みが強いだけでなく、傷がさらに悪化しやすいですよ。
そこでおすすめなのは、違う体勢で授乳する方法です。
抱き方だけではすぐには解決しませんが、悪化を避けるためにぜひ取り入れていただきたいです。
引っ張られた部分には負荷がかかり、切れやすくなります。
フットボール抱き
後から抱きかかえるようにして、授乳します。
フットボール抱きの場合は、脇の下にクッションや枕、授乳クッションを重ねましょう。
赤ちゃんがおっぱいの真横にくるようにすると、おっぱいが引っ張られずに授乳できます。
縦抱き
背中を支えながら授乳してあげてください。
新生児の頃はまだ体も柔らかく不安になるかもしれません。
でもこのスタイルであれば、赤ちゃんはゲップが出しやすいです。
できるだけ、前かがみになって授乳しないようにしてください。
ママの太ももと赤ちゃんのお尻の間にまくらや折りたたんだタオルを挟んでもいいですね。
横抱き
この授乳方法で日頃から授乳しているママは多いでしょう。
オーソドックスな抱き方ですが、たまには他の抱き方で授乳してくださいね。
注意したいポイント
赤ちゃんの下あご位置と傷の位置を考え、抱く方法を変えてみてくださいね。
痛みが少なく授乳できる体勢を見付けてください。
2. 傷のないおっぱいから授乳
授乳の始めは赤ちゃんの吸う力が強いので、まずは傷のないおっぱいから授乳してくださいね。
おっぱいが湧きでてくるまでにも時間がかかることを注意してください。
赤ちゃんがすぐに飲めるように、おっぱいを少し絞って出やすい状態を作ったうえで授乳してもいいですね。
おっぱいの搾り方
3. 授乳後はおっぱいの保湿を忘れずに
おっぱいの保湿におすすめなのは、ラップパックです。
- 授乳が終わったら、おっぱいに馬油(バーユ)・羊油など、赤ちゃんの口に入っても大丈夫な油分を塗ります。
- サランラップで覆います。
ふきとる場合は濡らしたコットンなどでサッと拭き取る程度にしましょう。
授乳以外の時間はパックをし続けましょう。
ミニタイプのラップを買っておくと便利ですね。
赤ちゃんの口に入っても安心な油
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4. プロテクターフィルムを使う
ドラッグストアなどで売られているプロテクターフィルムもおすすめです。
プロテクターフィルムとは、傷を水から守る薄い透明シートです。
おっぱいの傷を覆うように大きめに貼って、授乳してください。
※赤ちゃんが飲みこんでしまわないように、授乳中は充分に注意をしましょう。
5. 皮膚科もしくは産婦人科で軟膏を処方してもらう
ラップパックをしても傷が治らず、痛みが強い場合もあります。
長い間、傷を我慢して授乳してしまったんですね。
この場合は、我慢して授乳を続けると傷口から雑菌が入って乳腺炎になる場合もあります。
皮膚科もしくは産婦人科で軟膏を処方してもらいましょう。
傷のある乳頭からの直母をやめ、一時的に搾乳にする方法もあります。
乳頭保護器などを利用することも可能です。
ただし搾乳がうまくいかず、乳腺炎などを起こす可能性もあります。
傷が深くなってしまった場合は、おっぱいケアに詳しい助産師さんに相談してから搾乳や乳頭保護器を利用することをオススメします。
まとめ
授乳中はおっぱいが切れて痛みを持つことが良くあります。
- 出産後すぐでおっぱいが出づらいとき
- 歯が生えてくるとき
です。
初産の場合は赤ちゃんもママも授乳に不慣れなため、傷ができやすいのです。
(現役保健師・金子奈菜絵)
傷ついたおっぱいを吸われると、悲鳴が出そうなほど痛むことがあります。
まずはすぐできることからご紹介しますので、対処方法を考えてみてくださいね。