乳輪下膿瘍は通常、切開による治療が一番早く治ると思われています。
実際に早く治るかもしれませんが、授乳中は切開していいのか心配ではないでしょうか?
授乳中の切開のデメリットとは?
授乳中に膿瘍を針を刺して吸引した私の体験談を踏まえ、切開のデメリットをお伝えしたいと思います。
1.育児や日常生活も影響するほどの痛み
乳輪下膿瘍のおっぱいの治療とその手順を考えてみましょう。
切開の場合
- 切開して膿を出す
- 傷を消毒する
- ガーゼ付きの防水シートを当てる
- 翌日までそのまま
つまり、病院で一度切開をすると再度膿を出す治療をする翌日までそのままです。
翌日のシート交換までは、胸はガーゼ付きの防水シートに覆われたままになります。
防水シートとはいえ、お風呂場でシートを濡らさないようにするのはとても困難になります。
しかも防水シートで覆っている胸は、体を洗うと水に濡れやすい部分です。
特に産後間もないママは、自分の身体を動かすだけでも大変ですよね。
どうしても胸を濡らさないようにすることが難しくなります。
針刺し吸引の場合
- 針刺し吸引
- 処置した部分を保冷剤で冷やす
- ガーゼを貼る
- 通院しないのでガーゼを自分で張り替える
どちらの場合も手術した日は、じんじんと1日中痛みます。
寝る時も手術した胸をかばうので、寝る体勢や寝返り一つで神経を使います。
さらに子どもを抱っこする際も相当気を使いながら、抱っこするようになるでしょう。
切開をすると、授乳生活だけでなく育児や日常生活にも影響がでてしまいます。
2.授乳ストップ
当然、切開した傷口は触れられないほど痛く、授乳どころか搾乳もできなくなるでしょう。
また、切開の傷や針刺し吸引の傷からの、さらなる感染を防ぐ必要があります。
このため、授乳は困難になります。
3.切開後の通院が大変
切開の場合は傷口の消毒のため、手術後に毎日通院する必要がでてきます。
結果的には、土日を挟むと約1週間かかります。
授乳中の小さな子どもを連れて外にでる(もしくは子どもを預けて一人で外出する)のはとても大変です。
セカンドオピニオンを!
もしも乳輪下膿瘍になってしまい、外科的な処置が必要になった場合は、乳腺外科だけでなく産婦人科の意見も聞いてみてはいかがでしょうか。
治りは遅くなりますが、薬だけで治すことができればそうしたい方も多いでしょう。
また、乳輪下膿瘍が治った後の授乳の相談や授乳中でも服用可能な薬などは、産婦人科の方が詳しい場合もあります。
「乳輪下膿瘍になってしまったかもしれない」という状況に初めてなってしまったら、セカンドオピニオンも視野に入れて病院を探してみませんか?
乳腺外科と産婦人科がある総合病院で見てもらう方がいいでしょう。
執筆者の場合
かかりつけの乳腺外科は土日がお休みで、たまたま出産した産婦人科に行きました。
ここで授乳中でも服用できる薬を処方してもらいました。
切開されてしばらく授乳ストップになるのを恐れた私は、それを機にトラブルを感じた際は同じ総合病院にある産婦人科に相談するようにしました。
おっぱいがらみの話は、助産師さんの方が丁寧に話を聞いてくれるような気がしたからです。
産婦人科の見解を聞いた後、乳腺外科に診てもらうようにしました。
乳腺外科の先生からは、このような話がありました。
「授乳中のおっぱいは母乳がでていて、切開しても傷口が治りにくいため切開はできない」この先生は、超音波で確認しながら針で穴をあけて炎症部分の膿を出すという方法で膿を出そうとしてくれました。
ちなみに余談ですが、私は、乳腺外科に行く前の搾乳中に、明らかに乳汁とは違った膿がでてきていました。
そのため、針を刺してもいつものようにぶわーっと膿がでるようなことはありませんでした。
また、乳腺外科の先生には母乳にいい薬なんてないと言われましたが、産婦人科で出産後にも飲んでいた体の炎症を抑える薬を処方していただきました。
一度針を刺したので冷却しながら様子を見なければいけませんでした。
そのため、1週間ほど乳輪下膿瘍になった方のおっぱいの搾乳をストップしました。
痛みがなくなってからも、針の後がかさぶたで残っていました。
また炎症したら…と思うと怖くて、授乳・搾乳共に1週間くらいできませんでした。
幸いなことに搾乳しなくても、おっぱいが張るなどのトラブルはありませんでした。
産婦人科には、乳輪下膿瘍がひと段落してからも3度足を運び、陥没乳頭の相談・指導をしていただきました。
まとめ
乳輪下膿瘍はあまり経験した人がいないのか、産婦人科の助産師さんも決定的なことをうかつに言えない印象でした。
産婦人科はママの心強い理解者です。
双方の意見を聞きながら、自分のしたいことや不安なことをしっかり伝えてください。
一番理解し、導いてくれる治療者に出会えますように。