乳輪下膿瘍の発症!保健師と経験者が教える対処法と治療者との上手な付き合い方

乳輪下膿瘍になってしまった方は不安が多いと思います。

  • まず、どうしたらいいのか(対処法)
  • どこの病院へ足を運ぶべきなのか(治療者との付き合い方)

そこで今回は、母乳トラブルの連載をしているライターの高橋奈奈子が保健師ライターとともに、アドバイスをまとめました。

乳輪下膿瘍の対処法と治療者との上手な付き合い方

乳輪下膿瘍になってしまったら、このページを思い出していただけると、
治り方や治療者とのかかわり方が変わってくるのではないでしょうか?

1.授乳はいったんストップし、搾乳は続ける

痛みやしこりがある場合は、感染が悪化しないように、授乳はストップしましょう。
そして授乳量が落ちないように、搾乳を続けましょう。
膿がたまってしこりになっている場合は乳頭から膿がでる出口がないのですが、搾乳中に乳汁とともに膿がでてくる場合もあります。

2.現在の症状と授乳を続けたいことを伝える

乳輪下膿瘍はおっぱいの一部にしこりのようなものができ、痛くなります。
乳腺炎ではないので熱はありません。
また、病院でおっぱいが痛いと話すときに、今後も授乳したいと伝えることで処方される薬が変わってくる場合もあります。

3.治療者(訪問助産師・かかりつけの病院・産婦人科・外科)との付き合い方

一般的には、おっぱいトラブルだと思う方も多いのでは?
お世話になった産婦人科に足を運ぶ方もいらっしゃると思います。
ただ、産婦人科では専門外になってしまうおそれがあります。

熱がなくておっぱいが痛い

産婦人科で伝えると

乳腺炎ではないと判断されるまでにとどまる病院もあるでしょう。

なんとなくで終わってしまわないために、気を付けていただきたいことがあります。

乳輪下膿瘍の経験者の場合

  • 乳輪下膿瘍になったことがある
  • 以前と同じような痛みを感じる

とはっきりと伝える必要があります。

初めての方

初めて乳輪下膿瘍になる方は心細いかもしれませんね。
乳腺外科に診てもらうまでの間に、

  • 授乳中でも服用できる薬はないか

と聞いた方がいいでしょう。

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一般的なおっぱいトラブルや授乳の悩みに強いのは産婦人科です。

授乳の相談は産婦人科の方が親身に相談に乗ってくれるでしょう。

乳腺外科は、乳輪下膿瘍を治療する専門家です。

ママの中には治りは遅くても薬のみで治療したいママもいらっしゃると思います。
こういった相談は産婦人科と乳腺外科の双方に相談してみましょう。


4.土日祝日の場合・掛かりつけの病院がお休みの時はどうする?

乳腺外科がお休みの場合は、まずお世話になった産婦人科に診てもらいましょう。
進行を抑えるために、薬だけでも処方してもらうといいと思います。

5.根本治療が必要かどうか

乳輪下膿瘍は一度かかると今後も炎症を起こす可能性があります。
再発を避けるために、根本治療を行う必要があるかどうかは慎重に相談したほうがいいと思います。
個人的な意見では、授乳が終わって、余裕がある時をおすすめします。
胸を手術することは、抱っこなどの育児中や日常生活に支障をきたす恐れがあります。
根本治療は手術中のことはもちろん、手術後の生活も考えながら慎重に!

執筆者の場合

出産後の退院一週間で、胸にしこりができ、痛みを感じました。
困ったことに乳輪下膿瘍が再発したのは、土曜日でした。
子どももまだ生後数週で小さなため、どこの病院に行ったらいいのか困りました。
結果として、
1. 陥没乳頭でお世話になっていた訪問助産師さん
一時的な処置 違和感のある胸の方からの授乳をストップし、搾乳だけを実施
2. 産婦人科
出産直後の授乳中でも服用できる薬(フェロミア)を処方
3. 乳腺外科
針刺し吸引の処置

産婦人科の助産師さんは、出産後間もない私の身体をとてもいたわってくれました。
おっぱいのトラブルはママ特有の問題で、体の異常と同時にメンタル面もとても不安定です。
こういったメンタル面のサポートは、乳腺外科の先生よりも助産師さんの方が得意な印象です。

乳腺外科の処置後(切開手術など)では、授乳問題など手遅れになる恐れがあるので、手間がかかっても一度産婦人科に相談してみました。
結果的には無駄ではなかったと思っています。
乳輪下膿瘍の膿は、通常、切開や針を刺して、膿の出口を作ります。
しかし、授乳中は乳汁と一緒に膿がでてくる場合があるようです。

保健師からのアドバイス:乳輪下膿瘍にならないための予防法

乳輪下膿瘍は一度かかるとなかなか厄介ですよね。
乳輪下膿瘍にならない予防法の3つお伝えしたいと思います。

1.清浄綿を使い清潔にする

乳輪下膿瘍は、乳管に老廃物やケラチンなどが詰まって炎症を起こしたものです。
さらにその部分に黄色ブドウ球菌などの細菌感染がおこって膿瘍ができます
このことから、乳頭の乳官口や乳頭周辺の皮膚を清潔にすることが大切になります。
授乳の前後に清浄綿を使い、乳頭周辺を常に清潔にするように心がけましょう。

2.乳頭保護器を使う

陥没乳頭の乳首は、乳頭が内側にくぼんでいるため皮膚が弱く、傷もできやすいです。
少し触っただけでも細菌が侵入しやすくなっています。
また、出産直後から陥没乳頭での授乳は難しいので乳頭保護器を使って、子どもに陥没乳頭側の乳汁を吸ってもらうことが大切です。

3.しっかり休もう

産後のママの疲れは、とてもダイレクトに体に影響します。
なぜなら、出産という大きな仕事を終えたばかりの身体は、思った以上に免疫力が落ちているからです。
普段なら疲れを気にしないような方も、初めての育児の方は特に子育てという未経験の慣れない生活をしていると思います。
なにげなく生活していても、知らず知らずのうちに、体力と気力を使っているはずです。
侮れないので気を付けてください。
乳輪下膿瘍は免疫が落ちると、細菌感染しやすくなります。

高橋奈奈子の体験

授乳の前と搾乳の後に必ず清浄綿を使い、清潔を心がけました。
そして授乳は直母ではなく、乳頭保護器を使いました。
乳頭保護器を使っていたのは、乳頭の細菌感染や傷を防ぐ目的と同時に、陥没乳頭を治したかったので、子どもに吸われることで乳頭を出してもらうという目的もありました。
また、授乳だけでも頻回授乳で、体力を消耗していたので、できるだけ休めるときは休むようにしていました。
しかしながら、退院後1週間もしないうちに、少し乳輪のあたりにしこりと痛み、違和感を覚え始め、乳輪下膿瘍になってしまいました。
予防はしていたものの、乳輪下膿瘍を防ぐことはできませんでした。

保健師から乳輪下膿瘍を心配するママさんへ

乳輪下膿瘍になったことのある方は、ならないように特に注意することが必要です。

ここには一般的な予防法を提示しています。
予防をしていても一度かかったことのある方は、どんなに気を付けていても授乳を機に再発しやすいようです。
再発したらどうすればいいかもご紹介していますので、合わせてご覧ください。
みなさんのストレスや不安が少しでも緩和されますように。